9 月 18 日に毎年恒例のアカトンボ観察会を行いました。今年は 14 名の参加でした。年々参加する子供の年齢が低下しており、今年の最年長者は小5の男の子でした。以前は小学5年前後の子が多かったのですが、最近は就学前の子供が目立つようになりました。最近の子の虫嫌いは目を覆うばかりで、農業高校に通う息子の話では、オニヤンマが教室に入って来ると、男子学生でさえ逃げ惑うなど、トンボを怖がる友達が少なくないとのことです。

ところで、今回の観察会で確認できた赤トンボは、アキアカネ、マユタテアカネ、ミヤマ
アカネ、ネキトンボ、ウスバキトンボ(正式なアカトンボではないが)の 5 種でした。種類数としてはあまり以前と変わりがないのですが、個体数がめっきり減りました。とくに、以前はどこにでもいたナツアカネが全く見られなくなりました。こんな状況では、アカトンボが群れ飛ぶ田園風景も、アカトンボを追いかける子供たちの姿も、近い将来見られなくなってしまうでしょう。童謡のアカトンボは国民的愛唱歌として親しまれてきましたが、この歌も忘れ去られる日が近いような気がします。当会では、むさしの里山研究会の活動を引き継いで、アキアカネ復活に向けた調査を行っていますが、そんな調査も空しいような気がしてきました。アキアカネもナツアカネも水田依存度が高く、この調査はアカトンボが住めるような水田耕作方法を明らかにすることが目的です。しかし、たとえそれが明らかになったとしても、その耕作方法は無農薬など手がかかり、非効率なものになるでしょう。日本の農業は省力多収穫を目標に技術開発が進められてきました。その結果、アカトンボが住みにくい水田になってしまったのです。今後も貿易の自由化の中で、さらに効率的な水田づくりが加速されることでしょう。アカトンボと共存する田んぼづくりなどをやっていたのでは、世界競争に勝てないことは自明です。加えて日本は超少子高齢化社会になり、生き物を育んできた里山の田んぼは消滅しそうです。なぜなら、人口減少により田んぼはおろか集落、さらには市町村の存続さえ危うい時代が目前に迫っているからです。人が住まなくなった里山の自然は消滅し、原生自然が復活するかもしれません。そうなると、田んぼを住みかとしてきたトンボたちは大きな影響を受けるでしょう。元来は森林内の水たまりを生息場所としていたカトリヤンマは、生息場所が増大して勢いを盛り返すかもしれません。一方、ナツアカネやノシメトンボ、アキアカネなど、明るい湿地や一時的な水たまりを住みかとしていたトンボは、里山に田んぼが無くなると、絶滅の道を進むことでしょう。一口に田んぼに依存したトンボと言っても、元来の生息環境により明暗分かれるように思います。アカトンボが群れ飛ぶ日本の風景が消滅し、それに伴いアカトンボに関心を持つ人々が減少する時代が、すぐそこまでやってきた。そんな暗い気持ちにさせられた今年のアカトンボ観察会でした。

これほど赤トンボが少ないのでは、長年やってきたアカトンボ観察会ですが、今回で最後にしようかと考えています。