今年もアキアカネの復活と、ウスバキトンボの移動の謎の解明に向けた調査を行っています。今年が最後の調査になりますが、会員の皆様は「互いに支え合う地域づくり」を目的とした当会の活動と、赤とんぼ調査とどんな関係があるのだろう?と疑問に思われることと存じます。以下簡単にその関係について、私の考えを述べさせていただきます

赤とんぼ調査は当会が吸収合併した「むさしの里山研究会」が 2003 年から始めたものです。調査の目的は日本を代表する2種の赤とんぼ、すなわちアキアカネとウスバキトンボについての情報を収集し、その生息環境の保全に寄与することでした。しかし、なかなか情報が集まらず、保全に向けた先行きが見通せない状態でノアへの吸収合併となりました。合併を理由に放り出すことがためらわれましたので、ノアで調査を引き継ぎ、今年度いっぱいで方向性を見出すことにした次第です。これが直接的な理由ですが、ほかにも大きな理由があります。そもそも里山保全団体である「むさしの里山研究会」と福祉活動を目的とした「ノア」を合併した目的は、福祉活動と里山保全をリンクした活動を目指すことにありました。私は福祉も自然保護も「人間の暮らし」という視点に立てば、同じように大切なことだと思うのです。動植物は食料として私たちの暮らしに欠かせないばかりではなく、草花や鳥や虫たちは私たちの心を慰め、癒してくれる存在です。また、生き物をとおして絵画や文学などの芸術や文化も育まれます。人間は生き物からたくさんの恵みを受け取っている存在だと思うのです。ですから、人間は人と人とのつながりが不可欠なように、生き物との関係も大切だと考えます。福祉と環境を別々のこととするのではなく、人間を支えるものとして、一体的に捉える必要があると思うのです。

アキアカネとウスバキトンボは、田んぼという人間が作り出した環境にちゃっかり住み着き、繁栄した生き物の代表です。同様に田んぼを棲み家として繁殖してきたトキやコウノトリは既に絶滅してしまいました。トキやコウノトリが絶滅しても、私たちの暮らしが困るわけではありません。でも、大空を優雅に飛ぶトキやコウノトリの姿を見ると感動します。私たちは生き物によってお金では買えない力や感動、
慰めを受け取っているのですから、そうした生き物を大切にすると同時に、生き物のめぐみを分かち合うため、赤とんぼ調査を引き継いだのです。赤とんぼ調査は今年で終えますが、これからも生き物の保全と福祉を関連付けた活動を展開するつもりです。