アキアカネ復活に向けた試みについて、むさしの里山研究会の後を引き継いで本年も行っていますが、来年の調査で一区切りつけることにします。つきましては、これまでの成果を踏まえ、以下のような調査を行う予定です。アキアカネは極めて多様性に富む昆虫で、様々な地域での比較が必要ですし、地域にあった保全策を講ずる必要があると思います。まだ大ざっぱな計画案しかできていませんが、来年3月までにはより具体的な調査方法を提示します。その折には、ぜひ皆様のご協力をお願いします。

調査の目的

アキアカネが水田で生息するためには以下の四つの条件が全て満たされることが必要と
考えられる。
1.秋に産卵場所となる水たまりが存在すること
2.ヤゴの成長を完了するのに十分なエサ生物が存在すること
3.孵化やヤゴに甚大な影響を及ぼす農薬等有害物質が存在しないこと
4.ヤゴの生育中に干上がらないこと(中干を行わない)

上記のうち
1.は秋の長雨や台風、最近頻繁に起こる集中豪雨などにより問題はないであろう。
2.は2018年度のメインテーマになる。とくに、ある程度成長したヤゴは飢餓に強いが、ふ化直後のものは弱いので、孵化間もないヤゴのエサを飼育と野外水田において明らかにしたい。
3.はネオニコチノイド系育苗箱施用農薬が、アキアカネ激減の主因とする説が主流なっているが、検証が必要である。とりわけ、イミダクロプリドを成分とする薬剤(ルーチンアドスピノ)のミジンコ類やアキアカネ幼虫への影響の有無を調査する必要がある。
4.は主要な激減要因とは考えにくいが、羽化前の中干の影響について検証するため、ヤゴの乾燥耐性について調べる必要がある。

一方、上記の1~4の全てを満たすと考えられる冬季湛水無農薬水田でもアキアカネが全く発生しないケースがある。
これらのことを勘案し、2018年度は以下の調査を行い、アキアカネ復活に向けた試案を提示する。

調査方法

1.アキアカネの孵化時期(4月下旬~5月中旬)に、湛水後の水田の微生物の種類と生息密度を調査し、合わせてその水田でのアキアカネ幼虫の生息状況を調査する(2017年秋に調査予定水田でのアキアカネの産卵を確認しておく)。
2.飼育実験によりアキアカネの孵化幼虫に好適なエサ動物を明らかにする(水田に発生する代表的なミジンコ類数種を与え、成長状況を比較する)。
3.1箱あたり50gのルーチンアドスピノを育苗箱に施用し、その土壌、及び根を洗った苗を入れた容器で、ミジンコ及びアキアカネ卵、幼虫を飼育し、死亡率を対象区と比較する。
4.ルーチンアドスピノを使用していながら、アキアカネが大量発生する長野県伊那地方の複数の水田での現地調査と、農家からの聞き取り調査を行う。

調査期間

平成30年4月~10月

取りまとめ期間

平成30年10月~12月

報告書の内容(平成31年2月発行)

・アキアカネの生活史と生態と激減要因に関する知見総説
・箱施用殺虫剤を使用した水田でのアキアカネと共存する耕作方法の提案
・無農薬水田でのアキアカネと共存する耕作方法の提案
・簡易なアキアカネ生息場所づくりの提案